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2001年1月  第6話  お蕎麦・美味しい食べ方のお話

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新年明けましておめでとうございます。本年の第1話に当たり、引き続きのご愛読お願い致します。 さて、全ての食べ物には、それぞれの食べ方があることは、世界各国共通の認識です。
鮨には鮨の喰いようがあり、天麩羅には天麩羅の食べ方があります。つまり、醤油とか汁によって味を補う食品には、それぞれ食べ方に「通」があると言われております。「蕎麦」もその一つであります。
しかし人それぞれ好きずきで、規則があるわけではございませんのでどういう食べ方をしてもご自由ですが、元来蕎麦の味を見るには、「せいろ」に限るとされております。そして汁をどっぷりとつけては駄目だと言われております。本当の蕎麦通には、ほんの僅か汁をつけて、すすり込む味が何とも言えないものとされております。
機械打ちの蕎麦は、汁がしみにくく、どうしても余計につける傾向がございますが、手打ち、と言うより丁寧な水廻し(粉と水を混ぜる作業)で作った蕎麦は汁につけたところだけが味を含み、ちょっとつけただけでも、十分に味わえます。
それともう一つ、真の蕎麦通は、洗ったばかりの水の垂れるお蕎麦は喜ばれない方が多いようです。せいろに盛って出てきた蕎麦を2.3分置いて、お食べになるのを見受けます。
確かに蕎麦特有の香りや味は濡れていてはほとんど感じられないものです。しかし同じ蕎麦好きでも、人おのおのの趣向があり、随分と水の垂れるのを好む方もございます。
ただ、猪口一ぱいに蕎麦を入れ、汁の中でかき廻したものを、まるでかき込むように、汁と一緒にお食べになる方は、真実の「蕎麦通」でないことだけは事実のようです。こういう食べ方は、見ていても美味しそうではありません。

やはり蕎麦は、箸で4,5本すくい上げたものをちょっと汁につけて、するすると音を立ててすすり込む方が、どうみても美味しそうに思われます。
「通」の方には一杯の汁でせいろ三枚を食べるような上手な方もございます。もう一つ「蕎麦通」ならではの食べ方をご紹介いたしましょう。「家伝の変わり蕎麦」には、香りを楽しんで頂くものが数多くございますが、
なかんずく、「茶蕎麦」には、独特の食べ方がございます。
茶蕎麦はお茶の香気を含んだ蕎麦の風味を賞玩頂く蕎麦ですが、
このお蕎麦こそ、水を切った後、熱湯を注いで食べると一段と香気が高まり、独特の風味を発揮いたします。
「茶蕎麦を湯どうしで!」とご注文してみて下さい。