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2005年8月 第61話  本物と偽物

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最近、ゴルフクラブにしても運動靴にしても、本物とされるオリジナルが出るやいなや、すぐにそのコピー商品が現れます。 時計、バッグ、衣服と、どちらを見ても本物と偽物が隣り合わせに列ぶ始末です。

ふと考えると「おそば」も例外ではありません。
偽物が悪いと言う訳ではありませんし、味は人それぞれの好きずきです。
しかしながら、味を知る感性、ものを見極める感覚はしっかり持っていたいというのが本音です。

日本人全体が、総ブランド志向、総グルメになっている昨今、いまこそ見極める眼、舌が求められる時代と思われます。 特に伝承が奥深い歴史を作るとするならば、 子供たちには確固たる、本物・コピーを識別する経験を持ってもらいたいと願う次第です。
その経験とは、唯一、真の本物に触れ、味わうこと以外にないように思われます。

真の本物を生み出すものは何でしょうか?
私は、作り手、売り手の誠意・正直さと考えます。
「おそば」で申せばやはり、国産蕎麦粉の使用の有無と混合比率(蕎麦粉と小麦粉の割合)と申せます。 
おそばと一口に言っても、その範囲は広く、乾麺、ゆで麺から手揉み、包丁切りの世界まで。
蕎麦粉3割小麦粉7割のおそばから、蕎麦粉100%の世界まで。
外国産蕎麦粉と国産蕎麦粉、と言うように店の数だけ、千差万別のおそばが存在いたします。

お値段の差もさることながら品質の差は誠に大きく、残念なことにコンビニ・立ち食いの乾麺、ゆで麺ばかりをお食べになった子供たちには、国産蕎麦粉100%はおいしく感じられないようです。
非常に微妙なおそばの香りが理解できないものになってしまうことは非常に悲しいものでございます。
先日ある調査で、インスタントコーヒーばかりを飲まれる方はレギュラーコーヒーをまずいと感じると言うものがございましたが、これは大変なことだと、びっくりした次第です。

インスタントコーヒーも立ち食いゆで麺も決して偽物というわけではありませんし、
それなりの経済性、簡便性が最大の利点ではありますが、本当の本物との違いがあるのは明白で比べること、区別することは肝要ではないでしょうか。

「百聞は一見にしかず」とは誠に当を得た言葉で、当店においても「二八のもりそば」と「生粉打ちそば」はたった二割の違いではありますが、お食べになって頂くとお気付きになるはずですし、
それ以下の混合率、外国産は解らぬはずがないと確信いたしております。