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2009年12月 第96話  蕎麦全書

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寛延4年(1751)の十月、
江戸の住人「日新舎友蕎子」なる人物が上・中・下3巻で書かれた読み物が「蕎麦全書」であります。
半紙版・袋とじ。1ページ12行、1行約20字前後で120ページと申しますから約28800字、現在の原稿用紙にすると72枚となります。

作者「友蕎子」は蕎麦をこよなく愛した好事家の一人と推測されます。
現在でも多くの蕎麦愛好家の方が数々の評論本や食べ歩き談を書かれておりますが、美味いまずいや個人的好みのそれとは違い、その歴史性と客観性に意味があります。

江戸時代300年間に書かれた蕎麦に関する唯一の文献として、我々にとって蕎麦研究の種本的存在となる貴重な資料であります。蕎麦切りの成り立ちから、原料の流通、製法、食べ方、用具、風俗との関わり、流行の蕎麦、江戸市中の蕎麦屋の現状と歴史、国内諸国の蕎麦事情・・・ と歴史性・時代性・技術論・風俗論・食文化論が網羅されております。

既刊本は無く古書という事に加え、旧仮名遣いで解釈に一抹の不安もありますが、先輩諸氏からの話や、文献を駆使しながら読み進めております。この「店主に独り言」でも何度も引用や参考にしておりますが、 今後も折に触れご紹介していこうと思っております。
以下原文通りの目次を記して「蕎麦全書」のご紹介まで。

「巻之上」

一、新蕎麦の事      一、深大寺蕎麦の事
一、蕎麦仕様概略の事   一、役味概略の事
一、江戸中蕎麦切屋の名目の事
一、そば後蕎麦湯を出す事

「巻之中」

一、蕎麦の角力の事   一、友蕎子手製蕎麦入用之具
一、手製蕎麦家法    一、家製蕎麦汁之法
一、家製に用る役味の品  一、役味総解

「巻之下」

一、けんどんそば始りの事 一、ぶっかけそば始りの事
一、新吉原蕎麦切屋はじまりの事
一、精進に用ゆる華鰹を仕様の事
一、蕎麦を煉るに色々法有る事
一、蕎麦切屋と云はずして大方温飩屋と唱ふる事
一、蕎麦切屋のそば小麦粉を入る割の事
一、蕎麦後吸い物の事   一、蕎麦を消す薬の事
一、蕎麦の出る諸州所々の事一、諸国名の有る蕎麦の事
一、江戸中蕎麦切屋名寄付名目 一、江戸中麪粉屋名寄
一、馬喰町蕎麦切屋大に減ぜし事
一、河漏を蕎麦切の文字にする事
一、卵麪こしらへ様の事  一、駅路そばの事
一、素麪をそば切料理にして食す仕様の事
一、大麦切仕様の事    一、麦飯拵へ様の事
一、葛粉切拵様の事    一、温飩煮法有る事
一、冷麦切煮様の事    一、米切拵様の事