2014年5月 第123話 ダッタンそば
お蕎麦が美味しいだけでなく健康に良いと言われる理由は、蕎麦に含まれる「ルチン」と「ケルセチン」の働きによるものであります。ルチンはビタミンの仲間でワインで知られるポリフェノールの一種、ルセチンは普通種のそばにはない緑黄色の色素で健康維持の大きな効果がある栄養素です。
今回のお話の「ダッタン蕎麦」は、のルチン・ケルセチンが普通の蕎麦の約100倍含まれると言われております。通常お食べいただいております普通種の蕎麦を「甘そば」と言うのに対しダッタンそばは「にがそば」と呼ばれ、苦味を持つそばであります。原産地は内蒙古の高地で、現在は内蒙古・四川省・雲南省の3000m級の高地で作られています。米や麦などの一般的な穀物が育たない過酷な条件の高地では貴重な食材として伝統的な料理法もあると聞いております。
日本では苦味が嫌われたのと、茹で上がりの色が普通種と異なり鮮やかな黄色と言うことでほとんど食されていませんでしたが、昨今の健康ブームに乗り注目され始めてきました。
苦ささえ取れればその成分は素晴らしいのもですので色々と研究の価値はあるように思っておりました。
中心部分の粉は苦味は少ないのですが色は黄色となりました。
これではと諦めていたところ、同じルチンを豊富に含んだ若葉が使える事に気付きました。
色も綺麗な緑色、味も草臭さはなく普通種のそばの邪魔にならないようです。
若葉の葉っぱのみを粉に挽いて混合すると味も食感もそのままに、100倍のルチンと新そばを彷彿させる爽やかな緑色を出すことが出来ました。国内産がどうしても色変わりをするこの時期からは魅力的な隠し味になるように思います。香りを味わい、色を楽しみ、知らぬ間に豊富なルチンを摂取できれば蕎麦の価値がまた少し向上するのではと期待を膨らませております。
100g中の成分表比較は以下の通りです
ダッタンそば 普通種そば
水分 12.3g 13.5g
蛋白質 9.7g 12.1g
脂質 3.0g 3.1g
灰分 1.5g 1.8g
炭水化物 73.5g 68.5g
エネルギー 360kcal 363kcal
ナトリウム 0.2mg 2.0mg
ルチン 1400mg 15mg
ケルセチン 3.4mg ----