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2015年7月 第130話 土用の丑の日

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立春、立夏、立秋、立冬の各前18日間を指し示す言葉が「土用」。

その18日間内の丑の日が「土用の丑の日」となり、最も知られているのが夏の土用の丑の日となります。
今年は7/24と8/5がそれに当たります。

特にこの日に鰻を食べるようになったのは、江戸時代に平賀源内が発案したと言われておりますが、万葉集でも大伴家持が「夏痩せに、よしという物ぞ、むなき(鰻)とりめせ」と夏痩せの友人に鰻を勧めているように、鰻は奈良時代から夏バテ予防の妙薬だったのかもしれません。

用の丑の日の鰻に代表される様に、日本には古来より季節や時期に当てはめて健康面は元より、風習縁起に関する食べ物が数多く定められている様に思われます。例えば少し前の6月30日は一年の折り返しの日、各地の神社では芽の輪を鳥居に括り付け参詣人をくぐらせ、夏の疫病や水の災厄を除くみそぎの行事が行われます。

当地芝大神宮でも「夏越の祓(なごしのはらえ)」「水無月の祓」として行われています。

この日菓子屋で売られるのが「水無月」、白いういろうの生地に小豆をのせ三角形にきったお菓子のことです。

古来、宮中で旧暦の6/1(氷の節句)に暑気払いのために氷室から氷を運び出して口にしたそうですが、水無月の三角形はこの氷の形を真似たものと言われています。

7月は言わずと知れた7/7。織姫と牽牛が一年に一度だけ天の川を渡って出会える「七夕」です。古くからこの7/7に素麺(そうめん)を食べる習慣のあるところがあるそうです。日本歳時記によると、「七夕に索餅(さくべい)を食べると、おこり病(熱病)にかからない」と言う中国の伝説が起源となっているとのことで、この索餅の発達した食べ物がやはり中国から日本に伝わって来た素麺なのだそうです。素麺はのど越し爽やかであり、消化においても身体に優しく、暑い夏に向かって食欲のなくなるこの季節には格好の食べ物と言えます。

夏以外にも、12/22前後の冬至の日に食べる「かぼちゃ」や、同じく冬至の日に風呂に柚子を浮かべてはいる「柚子湯」なども日本の風土が生み出した伝統の一つと考えられます。お蕎麦は夏でも冬でも、温かくしても冷たくしても食べやすい食材ですので、時期や四季に合わせた薬膳を打ち込めます。日本の食文化、食科学はなんと奥深きものか。

ちなみに7月の笹切りそばは整腸と食欲増進、9月の生姜切りそばは血行促進と言う効能もございます。