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2017年12月 第137話 江戸仕草

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毎年次に来る年が良い年でありますようにと祈るこの時期ですが、江戸の世で皆が気持ちよく暮らし楽しく付き合う為に生まれた「江戸仕草」と呼ばれる粋な振る舞いがあるのをご存知でしょうか?


当時50万とも言われる商人や職人達は市中の約2割弱程度の広さの地域で暮らしていました。ドラマや映画に出てくる狭い長屋に肩寄せ合って暮らしていた訳ですが、そんな空間でお互いに思いやりを持ち、助け合い、より良い人間関係を保ち、円滑な人付き合いをする為のマナーとして考えられたのがこの江戸仕草と言う行動です。商人などが考えた為、「商人仕草」「繁盛仕草」とも呼ばれています。マナーと言っても大げさなものではなく基本は相手を尊重し敬意を持って接っすることで、心遣い気遣いと言ったものに近いのかもしれません。

私自身も亡き祖父や祖母から躾の一つとして教えられ記憶がかすかに残っているものが、すれ違い様に相手にぶつからないようにした「肩引き」や雨降りの時、傘が当って雨汁がかからないようにお互いに傘を外側に傾ける「傘かしげ」です。

これらは今も自然に行われる江戸仕草の代表例かと思います。江戸が過密な大都市であったにもかかわらず、凶悪犯罪も無く平和な都会だった裏にはそんな結びつきがあったのだろうと思います。近年は長く続く不景気の波が人と人との間をせちがらくぎすぎすとさせているようです。温故知新、昔の人の知恵を活かして朗らかで粋な生活を目指したく思う新年です。「袖すり合うも他生の縁」本日お蕎麦をお食べ頂いているお客様とも良き縁に恵まれます事を祈る次第です。

前述の2つの他にも少し調べました「江戸仕草」あれこれをご紹介させて頂き本年の独り言の締めと致します。どうか来年もご贔屓の程お願い申し上げます。


「うかつ謝(あやま)り」他人に足を踏まれた時、踏んだ相手は当然謝るものの、踏まれた自分もぼんやりうかつだったとわびる仕草。
「八(や)たび契り」名乗りあうのは8度の大切な約束を果たした後にすべきと言う意味で、人間関係は慎重にという戒め。
「時泥棒」時間を大切にしていた商人たちにとって、突然他人を訪ねるなどもっての外で嫌われた行動。
「三脱の教え」年齢・職業・地位の3つの先入観を取り払って対等で本質的な人の見方をせよとの教え。
「お心肥やし」美味しい物を食べて体を肥やす事も必要だが、感性豊かに自分を磨き本物を見分けられる学問や知識体験が大切と言う教え。